マツ再生プロジェクト
プロジェクトの進め方
   
日本の松原再生運動
・松原再生運動とは
・2つの取り組み
・再生事業実施箇所
・子供の松原実施箇所
・推進策/松アカデミー
ご支援のお願い
松保護士認定事業
『宝くじ松』配布事業
シンポジウムの開催
松林防除実践講座
   
日本の松原再生運動ロゴ
平成21年度 松原再生シンポジウム

「松原再生と地場産業の将来を考える」ご報告

 

シンポジウムは、当センター小禄常務理事の開会の辞で幕を開けた。

 

海岸クロマツ林

 始めに、近田氏より本日テーマとした「松原と地場産業の将来を考える」は、新しい観点の話題を多く含むと期待されるものであり、関連する学会の研究をいくつか紹介いただいた。

 海岸には特有の生態系と生物多様性があり、その保全の必要性は大きい。海岸クロマツ林は人間にとって特に重要であるが、クロマツ林に深刻な問題が生じて、その存在すら危ぶまれる状態にある。海岸林の機能とシンポジウムの位置づけとして、本シンポジウムは、単に現有の松原を経済的に利用するのでは無く、以上の海岸林の機能をさらに高め、海岸林自体を拡充、整備する効果を及ぼす地場産業の展開の道を探るために大きなヒントが得られることが期待されるなどのご指摘を受けた。

 

松原と砂丘地農業 次に「松原と砂丘地農業」の観点から竹内氏にご報告をいただいた。

砂丘地と海岸林(日本の原風景としての松原)の関係については、わが国の海岸には、さまざまな砂丘が形成され、これらの砂丘は古くから松の植林が行われ、美しい松原が造成されている。この松原が水田を守り、稲作を保護してきた。地場産業として、砂地農業の推進は1953年に設定された「海岸砂地地帯農業振興臨時処置法」の適用が転機とり、現在では世界に例を見ない砂地農業が各地で営まれている。

 次いで、砂地農業の現況を概観し、トピック的な砂地農業の事例として、松原によって育まれた砂地農業、気候風土をいかした特産物形成の可能性などを解説していただいた。

 

海岸林 3人目は「松原と木質バイオマス利用」をテーマに熊崎氏から話題提供を受けた。

 海岸林はかつて木質燃料の供給基地であった。すなわち、海岸林の多くは、海岸線の浸食を防止し、飛砂・風・潮の害を軽減する目的で造成され、保全されてきたが、山のない地域では古くから重要な燃料の供給基地になっていた。また、海岸林から燃料が取られなくなって、広葉樹の侵入やマツ枯れの発生が誘発され、海岸林本来の防災機能をも弱めていると言われる。さらに、海岸林を健康に維持するには、マツ林の除・間伐、不要樹種や枯損木の除去、落葉落枝等の収集が欠かせない。こうした手入れに伴って発生する木質バイオマスは貴重なエネルギー源である、との認識を提示した。

 続いて、間伐、再造林の伴わない、動かなくなった日本の森林の現状、その一方で、近年進歩する木質バイオマスのエネルギー利用の諸事情を解説し、木質エネルギー市場の展望についてまとめた。

 

トビシマカンゾウ 4人目は「松原でのエコツーリズムの可能性−山形県飛島の松原再生に向けて−」と題して林田氏からご報告を受けた。

 飛島の中央部の畑を守るようにクロマツが防風林として明治40年頃から植栽されている。タブノキの侵入などクロマツ林の遷移は島のいたるところで加速度的に進んでおり、これが飛島の生物の多様性の低下をもたらしつつある。

 飛島の自然が急激に変わりつつあるなか、佐渡島・粟島との三島交流を契機に島民によるトビシマカンゾウの保全活動が始まった。また、酒田市を中心とした庄内海岸林では10年前から枝打ちや下刈りなどのマツ林の保育作業がボランティア活動として盛んに行われるようになった。地元の多くの小中高校で環境学習として海岸林の保全活動を取り入れている。

 島を訪れた人々に飛島の自然を満喫するだけでなく、クロマツ林内での除伐作業等を体験してもらうことで、人の手をいれることによって自然の多様性を維持していくことを実感してもらう。このような体験型のエコツーリズムで、松原再生と自然環境の保全を両立する方法を模索してみる価値は十分あると指摘された。

 

クロマツ林内の歩行 最後の報告は「松原と健康産業−湯野浜ノルディック・ウォーク大会を例として−」をテーマに宮下氏から話題提供をいただいた。

 健康産業がはたせる松原再生の役割について、「国際ノルディック・ウォーク大会in湯野浜」の実績を踏まえてその可能性を考えてみたい。大会のコースは砂浜を歩き始め、途中からクロマツ林の中の道を歩き、折り返して砂浜海岸に戻るという5qと10qのコースである。クロマツ林内の歩行については、庄内森林管理署の許可を得た。

 松原再生にはたせる健康産業の役割としては、1松原の管理者は自治体と協議して、松原を中心にウオーキング(ランニング)トレイルを整備する。自治体は住民の利用促進を図り、多くの住民が日常的に歩いたり、走ったりするよう努力する。このような方策は、住民の健康増進に役立つとともに、松原再生の気運が高まることになろう。2日本列島各地の松原にウォーキング・トレイルが整備されれば、歩いて見比べたいと思う人が増えるだろう。そうなったら、(社)日本ウオーキング協会や旅行業者のような全国組織を有する団体と連携すれば、“日本列島松原めぐり”といったヘルスツーリズム(健康産業)の振興に役立つだろう。このような仕掛けによって松原へ直接足を運ぶ人が増加すれば、松原再生への原動力となる、とご提言をいただいた。

 

 5名の皆様による報告の後、近田氏をコーディネーターとして、シンポジウム全般にわたり、会場の参加者からの質疑応答を含む意見交換を活発に行った。

 最後に、瀧企画広報室長より閉会の辞を述べてシンポジウムを終了した。

 

 なお、シンポジウム開催にあたり、「三井物産環境基金」、(社)国土緑化推進機構「緑と水の森林基金」の助成をいただき、林野庁、全国森林組合連合会、日本海岸林学会、(社)ゴルファーの緑化促進協力会、一般社団法人日本樹木医会、松保護士会よりご後援をいただいたことを感謝します。

 

当センター小禄常務理事の挨拶 近田文弘氏
当センター小禄常務理事の挨拶
近田文弘氏(国立科学博物館名誉研究員)
熊崎実氏 竹内芳親氏
竹内芳親氏(鳥取大学名誉教授)
熊崎 実氏(筑波大学名誉教授)
林田光祐氏 宮下充正氏
林田光祐氏(山形大学農学部教授)
宮下充正氏
((社)日本ウオーキング協会名誉会長)

シンポジウムのようす

シンポジウムの様子

全体討論

全体討論

 

もどるシンポジウムの開催

このホームページに掲載の記事・写真の著作権は財団法人日本緑化センターに帰属します著作権について